
確定申告の期限に遅れた場合、ペナルティってあるの?



税務調査が来ちゃうのかな……
本記事では、上記のようにお悩みの人に向け、イラストレーターが確定申告を期限後にした場合のペナルティについて詳しく解説します。
イラストレーターとして個人で活動していると、確定申告は毎年の大切な業務のひとつです。
しかし「申告を忘れていた」「収入が少ないから大丈夫だと思っていた」といった理由で、期限を過ぎてしまう人も少なくありません。
確定申告を期限内に申告できないと、延滞税や無申告加算税などのペナルティがかかる恐れもあるのでご注意ください。
また、個人で働くイラストレーターが確定申告書を提出しないと、収入を証明できなくなるなどのデメリットもあります。
本記事では、イラストレーターが確定申告を期限後にしたい場合のペナルティや、確定申告をしないリスクについて解説します。
イラストレーターの確定申告の流れについては「【保存版】イラストレーターが確定申告する手順【記入例付き】」の記事で詳しく紹介しているので、よろしければ併せてお読みください。


イラストレーターが期限後に確定申告する際に生じるペナルティ
イラストレーターとしてフリーランスで活動していると、毎年の確定申告が欠かせません。
しかし、日々の忙しさなどが理由で、確定申告の期限に間に合わないこともあるかもしれません。
確定申告の期限を過ぎてしまった場合、以下のようなペナルティが課せられる恐れがあります。
- 延滞税
- 無申告加算税
- 重加算税
それぞれ詳しく解説していきます。
延滞税
確定申告の期限に遅れ、期限までに納付されなかった場合には、「延滞税」が発生します。
これは、いわば税金の「利息」のようなもので、遅れた日数に応じて課せられます。
延滞税の税率は、遅延の期間に応じて異なり、それぞれ以下の通りです。
納期限の翌日から2ヶ月以内 | 年7.3%か、延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い割合 ※年2.4%(2024年時点) |
---|---|
納期限の翌日から2ヶ月超 | 年14.6%と延滞税特例基準割合+7.3%のいずれか低い割合 ※年8.7%(2024年時点) |



延滞税は税金の納付が遅れた場合に発生するため、確定申告書を出すだけでなく「税金を納める」ことが重要です
無申告加算税
確定申告を期限までに提出しなかった場合には、「無申告加算税」が課せられます。
無申告加算税は、故意ではないにせよ、申告を忘れたり遅れたりしたことに対するペナルティです。



税率は、自発的に申告した場合や税務調査後に申告した場合などによって異なります
重加算税
重加算税とは、悪質な申告漏れや隠ぺい行為があった場合に課せられる非常に重いペナルティです。



単なるうっかりではなく、「意図的に所得を隠した」「売上を除外した」といった場合に課税されます
重加算税の税率は、本来納めるべき税額の35%が基本ですが、無申告だった場合は「無申告加算税+重加算税」として合計40%以上になるケースもあるので注意しましょう。
イラストレーターが期限までに確定申告しなかった場合に生じるリスク
イラストレーターが期限までに確定申告しなかった場合、延滞税などの追徴課税が課せられるだけでなく、以下のような恐れもあります。
- 青色申告特別控除を適用できなくなる
- 収入を証明する書類がなくなる
- 国民健康保険料が減額されなくなる
- 住民税の申告をしなければならない
それぞれ詳しく解説していきます。
青色申告特別控除を適用できなくなる
イラストレーターが確定申告をしなかった場合、青色申告特別控除を適用できず、税負担が重くなる恐れがあります。
フリーランスのイラストレーターが青色申告を選択している場合、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。
しかし、青色申告特別控除の適用要件には、「期限内に申告していること」が含まれるのでご注意ください。
仮に、帳簿も整っており、それ以外の要件をすべて満たしていたとしても、確定申告の提出が期限に遅れると青色申告特別控除の適用ができなくなります。



青色申告を利用する場合には、毎年必ず確定申告をしましょう!


収入を証明する書類がなくなる
個人事業主として働くイラストレーターが確定申告しないでいると、収入を証明できる書類がなくなる恐れがあります。
確定申告書は、フリーランスにとって「収入証明書」のような役割も果たし、以下のようなシーンで提出が求められることもあるからです。
- クレジットカードの申し込み
- 賃貸契約
- 住宅ローンの審査
- 保育園の入園手続き



確定申告をしないでいると、上記のようなシーンで収入を証明できず、信用力が低下してしまう恐れがあります
国民健康保険料が減額されなくなる
確定申告をしないでいると、所得額に応じた国民健康保険料の軽減措置を受けられなくなってしまいます。
例えば、所得が一定以下であれば2〜7割の軽減措置が適用される場合があります。
参考:軽減措置|八王子市
しかし、軽減判定の基準は前年所得や住民税と連動しており、確定申告をしていないと自治体が所得を把握ができず、軽減が適用されません。



その結果、本来よりも高い保険料を支払ってしまうこともあるでしょう
「所得が少ないから確定申告しなくて良いや」と安易に考えるのではなく、前年度より所得が大幅に下がったら確定申告をして軽減措置を適用してもらうことも大切です。


住民税の申告をしなければならない
確定申告を期限内にしなかった場合、住民税の申告を別途行わなければなりません。
通常、確定申告をすればその情報が市区町村にも共有され、住民税の計算に自動的に反映されます。



しかし、確定申告をしていない場合には、自分で住民税を申告しなければなりません
なお、確定申告が必要な収入基準と住民税申告が必要な収入基準は異なる場合もあるので注意しておきましょう。
イラストレーターで確定申告が必要なケース
個人で働くイラストレーターが確定申告しなければならないかどうかは、他に給料があるか、青色申告を利用しているかなどで決まります。
フリーランスのイラストレーターが確定申告しなければならないケースは、主に以下の通りです。
- 専業イラストレーターで所得が48万円を超える場合
- 副業イラストレーターで所得が20万円を超える場合
- 青色申告を選択している場合
それぞれ詳しく解説していきます。
専業イラストレーターで所得が48万円を超える場合
会社勤めをしていなく本業イラストレーターの場合や、専業主婦でイラスト制作・販売をしている場合には、年間所得が48万円を超えたら確定申告をしなければなりません。



「所得」とは「売上−経費」で計算可能です
例えば、1年間の売上が150万円で、画材費や通信費、ソフトウェア利用料などの経費が80万円かかった場合、所得は「150万円−80万円=70万円」となり、確定申告をしなければなりません。


副業イラストレーターで所得が20万円を超える場合
会社員など本業があり、副業としてイラストレーター活動を行っている場合は、副業で得た所得が年間20万円を超える場合に確定申告をしなければなりません。
なお、副業での収入を会社に知られたくない場合は、確定申告時に「住民税を自分で納付する」と選択しておきましょう。


青色申告を選択している場合
青色申告を選んでいる場合には、所得額に関係なく、原則として、毎年確定申告を行う義務があります。



青色申告を選択すれば、最大65万円の青色申告特別控除を適用できるなどのメリットがあります
青色申告は節税効果が大きいものの、毎年の確定申告が必要になったり、複式簿記による帳簿作成が必要だったりと手間がかかることを理解しておきましょう。
イラストレーターが確定申告していないことに気付いたときの対処法
個人で働くイラストレーターが確定申告をしていないことに気付いたときには、期限後であってもできるだけ早く申告したり、税理士に相談したりすることが大切です。
それぞれ詳しく解説していきます。
期限を過ぎていてもできるだけ早く確定申告書を提出する
最も重要なのは、申告漏れに気付いた時点で、すぐに申告をすることです。
確定申告の提出期限(通常は毎年3月15日)を過ぎていても、税務署は申告書を受け付けています。



遅れて提出した申告は「期限後申告」となり延滞税はかかるものの、無申告加算税などの税率が軽減されます
期限を過ぎたことに気付いたものの放置していると、延滞税もどんどん増えてしまいますし、税務調査のリスクも上がるので絶対にやめましょう。
税理士に相談する
確定申告を忘れていたことに気付いたものの、「帳簿すら作っておらず、何から手をつけていいかわからない」といった場合には、迷わず税理士に相談することをおすすめします。



税理士は申告漏れの対応に慣れており、状況に応じた最適なアドバイスや、過去分の申告書作成までサポートしてくれます
また、申告漏れによるペナルティや税務調査などの対応についても具体的に説明してもらえるため、安心して今後の対策を行えるでしょう。
特に、青色申告を選択している場合や、売上が多く経費処理が複雑な場合には、税理士に相談した方がミスを防ぎやすくなるのでおすすめです。
税理士に依頼するには報酬が発生しますが、ミスによる過大なペナルティや将来的な信頼低下を防げると考えれば、十分に費用対効果はあるといえるでしょう。
イラストレーターが確定申告していないことがバレる理由
個人で働くイラストレーターの場合、「自分が確定申告をしていなくてもバレないだろう」と考えてしまうかもしれません。
しかし、税務署の調査能力は非常に高く、確定申告をしていない場合、以下のような理由でバレてしまうでしょう。
- 税務署は個人の資産・収入状況を把握している
- 企業が税務署に提出した支払調書を通じてバレる
- 第三者による密告によるバレる
それぞれ詳しく解説していきます。
イラストレーターの確定申告はクラウド会計を利用しよう
個人で働くイラストレーターは確定申告が必要であり、負担に感じる方もいるでしょう。
1年間を通じてきちんと帳簿を作成したり、確定申告書を作成したりすることは、慣れていないと難しいと感じるかもしれません。
日々の会計処理や確定申告書作成の手間を減らしたいのであれば、クラウド会計を導入しましょう。
- 銀行口座やクレジットカードとクラウド会計を連携させれば、入出金・支出時に自動で仕訳をしてもらえる
- 必要事項を入力すれば、確定申告書を自動で作成してもらえるのでミスも減り、時短になる
- マイナンバーカードを読み取れるスマホがあれば、e-taxで確定申告書を提出できる
クラウド会計は複数のものがありますが、イラストレーターにおすすめのものは下記の通りです。
クラウド会計 | 特徴 |
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やよいの青色申告オンライン | 最大1年間の無料体験が可能! クラウド会計の利用料金を抑えたい方におすすめ |
マネーフォワードクラウド確定申告 | クラウドワークスなどイラストレーターが利用するサービスとの連携機能が豊富 |
freee | 簿記・会計の知識がなくても操作しやすいシンプルな機能が魅力 |
クラウド会計の利用には年間10,000円程度の費用がかかりますが、毎月1,000円弱で仕訳・確定申告作業を楽できると思えば利用する価値は十分にあるはずです!


確定申告を期限後にしたときのペナルティについてよくある質問
最後に、確定申告を期限後にしたときのペナルティについてよくある質問を回答とともに紹介していきます。
- 確定申告の期限に遅れた場合のペナルティとは?
-
確定申告の期限に遅れた場合、延滞税や無申告加算税、重加算税などが課せられる恐れがあります。
- 確定申告の無申告は何年でバレますか?
-
確定申告をしていない場合、「バレないまま何年も過ごせるのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、実際には数年以内に発覚するケースがほとんどです。
税務署は、クライアント企業が提出する支払調書や、銀行口座の動き、マイナンバーを通じた資産状況などによって、個人の収入や資産状況をある程度把握しているからです。
また、所得税の申告漏れの時効は5年(悪質とされる場合は7年)であるため、無申告による税務調査は時効を迎える前に行われる可能性が高いでしょう。
- 確定申告に遅れた場合はどこに相談すれば良いですか?
-
確定申告の期限に間に合わなかった場合や、あるいは何年も申告していないという場合には、早めに専門家や税務署へ相談しましょう。
主な相談先は以下の通りです。
- 税務署
- 税理士
確定申告書の作成まで依頼したいのであれば、税理士に相談することをおすすめします。
【まとめ】万が一期限を過ぎた場合はできるだけ早く申告しましょう
イラストレーターとして活動している場合、専業・副業に関係なく、一定の所得を超えれば確定申告が必要です。
万が一、申告が遅れた場合でも、すぐに対応すればペナルティを軽減できる可能性があります。
税務署は支払調書や資産情報を通じて個人の収入を把握しており、「バレないだろう」は通用しません。
申告漏れを防ぐためには、クラウド会計を利用し、会計処理や確定申告書の負担を軽くしておくのもおすすめです。
イラストレーターにおすすめのクラウド会計は、以下の通りです。
クラウド会計 | 特徴 |
---|---|
やよいの青色申告オンライン | 最大1年間の無料体験が可能! クラウド会計の利用料金を抑えたい方におすすめ |
マネーフォワードクラウド確定申告 | クラウドワークスなどイラストレーターが利用するサービスとの連携機能が豊富 |
freee | 簿記・会計の知識がなくても操作しやすいシンプルな機能が魅力 |
このブログでも、引き続き、イラストレーターの確定申告や税金に関する情報を発信していきます。



ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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