お悩み会社員をしながらイラストレーターしてきたけど、そろそろフリーになりたい



独立してフリーになるのにおすすめのタイミングってあるのかな?
本記事では、上記のようにお悩みの方に向け、副業イラストレーターが独立するのに適したタイミングについて解説します。
- 副業イラストレーターが独立を目指すタイミング
- 副業イラストレーターが独立するときの収入・貯金の目安
- 副業イラストレーターが独立するときにすべきこと
副業イラストレーターとして活動する中で、「いつ独立するべきか」「独立後の生活は大丈夫なのか」と不安を抱く方は少なくありません。
特に、フリーランスは収入の波が大きく、勢いだけで踏み切ると後悔につながることもあります。
本記事では、イラストレーターが独立するのに適したタイミングや独立前にしておきたい準備について解説します。
副業イラストレーターが独立を目指すタイミング
副業でイラストレーターしている方が独立を目指すタイミングはいくつか考えられます。
具体的には、以下のようなタイミングが多いでしょう。
- 副業の売上が安定してきたとき
- 営業がなくても依頼が途切れなくなったとき
- リソース不足により副業の依頼を断ることが増えてきたとき
- 自分の作風で勝負したいとき(本業もイラスト・デザイン系の場合)
- 本業・キャリアに限界を感じたとき
- ライフイベントに大きな変化があったとき
それぞれ詳しく解説していきます。
副業の売上が安定してきたとき
副業イラストレーターの独立の大きな判断材料となるもののひとつが、売上の安定性です。
単発で月に数万円稼げたとしても、それが偶然のヒットであれば独立して上手くいくという根拠にはなりません。



理想は、半年から1年程度、毎月安定して同水準の売上が続いていることです
また、副業段階では本業の給与があるため、収入の揺れが気になりにくいですが。独立後は売上=収入としてダイレクトに生活に影響することも理解しておきましょう。
したがって、副業の売上だけでも最低限の生活費や事業経費を賄えるだけのラインにあることが重要です。
営業がなくても依頼が途切れなくなったとき
副業の段階でも、SNSやポートフォリオサイトを更新するだけで自然に依頼が舞い込むようになってきたら、独立の大きなチャンスといえるでしょう。
仕事が途切れなくなる状態は作風・実績が市場に認められているサインのひとつであり、「営業コストをかけなくても仕事が入る状態」はフリーランスとして非常に強い武器になります。
特に、イラスト業は、クライアントとの相性やテイストのマッチングによって継続案件が生まれるためリピーターの有無は独立に大きく影響します。
リソース不足により副業の依頼を断ることが増えてきたとき
本業と副業の両立が難しくなってきて、リソース不足に悩むようになったときには、独立を検討しても良いでしょう。
- 本当は受けたい案件なのに、時間がなくて断らざるを得ない
- 複数の案件が重なったときに、クオリティが維持できなくなる
このような状態が続くのであれば、副業として続けるのではなく、独立を考えてみましょう。



リソース不足が原因で受注機会を逃すのは、長期的に大きな損失となります
独立して時間を確保できれば、単価アップや新領域への挑戦、営業活動の強化など、ステップアップしやすくなるはずです。
自分の作風で勝負したいとき(本業もイラスト・デザイン系の場合)
本業もイラストやデザインに関わる仕事をしている方の場合、「会社での制作物ではなく、自分の作風で勝負したい」という気持ちが独立の後押しになることがあります。
副業の段階で、自分のテイストを気に入ってくれるクライアントが一定数つき、自分の世界観を評価してもらえる実感が増えてきたら、独立後の活動も成功しやすくなります。



また、会社員の仕事は制作以外のタスク(会議や調整、事務など)も多く、制作に集中できないことも珍しくありません
独立すれば、自分の作りたい世界観・表現を中心に据えた働き方ができ、作品の幅を広げたり、ブランドとして育てていくことも可能です。
本業・キャリアに限界を感じたとき
会社員として働いていると、キャリアの方向性や働き方に壁を感じる瞬間があります。
例えば、本業やキャリアで以下のような悩みを抱えている場合には、転職だけでなく独立も選択肢のひとつとなります。
- 昇進しても業務内容が変わらない
- 評価基準が分かりづらく、成長実感が得られない
- 制作より会議や調整業務が増えて創作の時間が取れない
特に、イラストレーターの場合、自分の作風が評価されることで収入が伸びる職種であるため、「会社に依存しない稼ぎ方を作りたい」という欲求は自然な流れでもあります。
また、年齢によってキャリアの選択肢が変わることも重要なポイントです。
若いうちは転職もしやすくスキルアップを重ねられますが、30代後半〜40代以降になると職場環境の変化を望みにくくなり、自由度の高い働き方を求めて独立を視野に入れるケースが増えてくるはずです。
ライフイベントに大きな変化があったとき
結婚や出産、介護など、ライフイベントの変化は働き方を根本から見直すきっかけになります。
特に、クリエイティブ職の人ほど、時間の使い方や心の余裕が作品の質に直結するため、生活環境の変化は独立を考える重要なタイミングとなるでしょう。
例えば、出産や育児が始まると、会社員のフルタイム勤務では時間の制約が大きく、以下のように考える方は少なくありません。
- 育児のペースに合わせて働きたい
- 子供の体調不良にも柔軟に対応したい
イラストレーターは在宅で仕事ができるため、家庭との両立を重視する人にとって独立は現実的な選択肢のひとつとなるはずです。



私も職種は違いますが、自宅で働けているからこそ、家事と育児の両立ができているなと日々感じています
また、パートナーの転勤や実家への移住などのように居住地が変わるケースでも、退職し、副業だったイラスト制作を本業にしようと考える方もいるのではないでしょうか。
副業イラストレーターが独立するときの収入・貯金の目安
副業から独立を目指す際、多くのイラストレーターが不安を抱くのが「収入の安定性」と「貯金が十分にあるか」ではないでしょうか。
副業イラストレーターが独立し、フリーランスになると、収入が月ごとに変動したり、税金・社会保険料の負担が増えたりするため、会社員の頃とはお金の流れが大きく変わってきます。
独立を後悔しないようにするためにも、収入と貯金の最低ラインを見極めることが大切です。
本章では、独立する歳の収入・貯金の目安額を解説します。
収入目安:月10~15万円が半年程度続いているか
副業イラストレーターが独立を検討する上で、収入の安定度は最優先で確認すべきことのひとつです。
一般的な目安として、副業で月10~15万円程度の収入が半年以上続いていれば、独立しても生活していける可能性があります。
副業で時間が限られている中で、月10~15万円ほどの収入を確保できているのであれば、本業がなくなり稼働時間が増えれば、さらに収入を伸ばせることも多いからです。
また、月10万円以上の収入が半年以上続いている場合、リピーターがついているか、企業などから継続依頼を受注していることがほとんどのはずです。



このようなケースでは、収入がいきなりゼロになるリスクも少ないため、独立しても安定した売上を確保しやすくなります
貯金目安:生活費の半年から1年分くらいが貯まっているか
収入と同じくらい重要なのが、独立時点でどれくらい貯金があるかということです。
理想的な貯蓄額は、最低でも生活費の6ヶ月分、できれば1年分です。
生活費の半年から1年程度の貯金を確保しておくべき理由は、主に下記の通りです。
- フリーランス初年度は税金や社会保険料の請求タイミングが読みにくい
- フリーランス初年度は名刺やWebサイト作成など費用がかかる
- クライアントの都合で案件が急に途切れることがある
- 体調不良、家族の事情などで制作ができない期間が発生する可能性がある
- 確定申告後に思った以上の税金が発生することがある
- まとまった貯金があれば、収入が一時的に減少してもメンタルが崩れにくくなる
独立した年は、会社員時代の住民税や健康保険料がそのまま課せられるケースも多いため、予想以上に税金や社会保険料が高額になりやすいので注意しましょう。



また、フリーランスの収入には波があるので、貯金を確保しておくと、メンタルも良い状態を保ちやすくなります
多く、予想以上に固定費が重くなりがちです。生活費数か月分の貯金があれば、こうした負担にも柔軟に対応できます。
副業イラストレーターが独立するときにすべきこと
副業から本業のイラストレーターとして独立する際には、ただ「会社を辞めてイラスト一本で食べていく」という決意だけでは不十分です。
フリーランスとして安定した収入を得るためには、以下のような準備をしておきましょう。
- 開業届・青色申告承認申請書を提出する
- 事業用の銀行口座・クレジットカードを作成する
- クラウド会計に登録する
- 健康保険の切り替え手続きをする
- 年金の切り替え手続きをする
- 企業案件を確保しておく
- 料金表・ポートフォリオを作成する
それぞれ詳しく解説していきます。
開業届・青色申告承認申請書を提出する
フリーランスとして独立する際には、税務署に開業届と青色申告承認申請書を提出します。
開業届自体は提出義務があるものではありませんが、提出することで正式に「個人事業主」として認められ、後述する青色申告を利用できるようになります。
青色申告を選択すれば、最大65万円の控除を適用できるなどのメリットがあります。



少しでも節税するために、青色申告の準備をしておきましょう
ただし、退職後に開業届と青色申告承認申請書を提出する際には、失業保険との関係に注意しなければなりません。
失業保険は仕事を辞め休職中の方が受け取れるお金のため、開業届を提出し、個人事業主になると支給されません。
退職後は失業保険を受給したいと考える方は、開業届を出すタイミングに注意しましょう。



開業届を出すタイミングだけでなく、失業保険受給中は事業を開始しないことも大切です
失業保険受給中に事業を行うと、稼働時価や収入によっては、失業保険が受給停止となる恐れもあります。


事業用の銀行口座・クレジットカードを作成する
フリーランスとして独立する際には、事業用の銀行口座とクレジットカードを作っておきましょう。



何なら副業時代から事業用の口座・クレジットカードを用意しておいて、損はありません
事業用の銀行口座とクレジットカードを作成すれば、収入や経費の管理をしやすくなります。
なお、開業届を提出すれば屋号で銀行口座を作れるようになるので、本名を隠してイラストレーターの活動をしたい方にもおすすめです。
クラウド会計に登録する
確定申告や会計処理を楽にするために、クラウド会計に登録しておきましょう。
副業のうちは取引件数が少なく、エクセルやスプレッドシートで仕訳処理や帳簿作成をしたいた方もいるかもしれません。
しかし、独立して今後も事業を拡大していきたいのであれば、早い段階でクラウド会計の利用を始めることを強くおすすめします。



クラウド会計であれば、以下の機能を利用できるので、日々の会計処理や確定申告を楽に済ませられます
- 銀行口座やクレジットカードと連携し自動で仕訳を作成
- 取り込んだ明細をもとに自動で仕訳を作成
- 売上や経費、利益を管理しやすくなる
- 青色申告決算書や確定申告書を自動作成できる
マイナンバーカードとカードリーダー対応のスマホがあればe-Taxで確定申告書を提出できる



業務に集中したいクリエイターにとって、記帳作業の時間を減らせることは大きなメリットといえるでしょう
e-Taxによる確定申告は、青色申告の控除の条件にもなっているので、開業と同時に導入しておくのがおすすめです。


健康保険の切り替え手続きをする
会社員からフリーランスへ独立する際にまず直面するのが「健康保険の切り替え」です。
会社員であれば、勤務先の健康保険(協会けんぽまたは組合健保)に自動的に加入しており、保険料の半分は会社が負担してくれています。
しかし、本業の仕事を辞め独立する場合には、自分で国民健康保険に加入するか、勤務先の健康保険を任意継続する必要があります。
任意継続は会社負担分がなくなり自分で全額社会保険料を納める必要がありますが、扶養家族がいる方に適しています。



扶養家族がいなく、自分だけ健康保険の切り替え手続きをするのであれば、国保で良い方がほとんどです
任意継続は退職後20日以内に申請が必要なため、退職前にどちらにするか決めておきましょう。
また、国保の保険料は前年の所得をもとに計算されるため、独立初年度は会社員時代の所得が基準になり、保険料が負担となることもあります。
「独立したのに保険料が高くて驚いた」という人が非常に多いため、事前にシミュレーションしておきましょう。
年金の切り替え手続きをする
健康保険と同じように、年金も会社員時代とは制度が変わるので切り替え手続きを行いましょう。
会社員は厚生年金に加入していますが、独立後は国民年金(第1号被保険者)に切り替えなければなりません。
年金の切り替え手続きは自動で行われず、自分で自治体の年金事務所にて手続きしなければなりません。



国民年金は定額制で、所得に関係なく毎月一定額(2025年は17,510円)を支払う仕組みです
厚生年金より負担は軽くなりますが、その分、将来受け取れる年金額は減るため、長期的には以下のような対策も検討したいところです。
- iDeCo(個人型確定拠出年金)で老後資金を積み立てる
- 小規模企業共済で廃業時の退職金代わりを確保する



どちらも節税効果が高く、フリーランスが加入しやすい制度でありおすすめです
企業案件を確保しておく
独立後の安定収入を確保するためには、できる限り企業案件を持っておくことをおすすめします。
個人からの依頼は「単発」「価格が低め」「季節性がある」といった特徴があり、収入を予測しにくいことが多いためです。
一方、企業案件は以下のようなメリットがあります。
- 継続依頼につながりやすい
- 単価が高い
- 制作スケジュールが安定している
- 実績として強くアピールできる
フリーランスとして長く成功するためには、収入の安定性が非常に重要となってきます。
個人向け(SNS用アイコンなど)の仕事をメインにしていても、企業案件も数社受注できていると収入を安定させやすくなります。
料金表・ポートフォリオを作成する
フリーランスとして独立するにあたり、料金表やポートフォリオを用意しておくと、営業活動をスムーズに進めやすくなります。
料金表を用意していないと、お問い合わせで「いくらで描いてもらえますか?」と聞かれたときにすぐに回答できず、チャンスを逃してしまう恐れもあります。
また、ポートフォリオを用意していないと、あなたに興味を持ってくれた方に実績を伝えられず「この人に依頼して大丈夫かな……」と思われる可能性もあります。



料金表もポートフォリオも作るのは面倒と思ってしまいがちですが、一度作れば営業活動の強力なツールのひとつになります
副業イラストレーターが独立時に後悔しないようにするコツ
副業イラストレーターが「独立なんてしなきゃよかった」と後悔しないようにするには、以下のようなことを意識しておきましょう。
- 会計・経費について簡単にでも良いので勉強しておく
- フリーランスは収入に波があることを理解しておく
- これまで以上に健康管理に気を付ける
- インボイス登録するかは慎重に判断する
それぞれ詳しく解説していきます。
会計・経費について簡単にでも良いので勉強しておく
フリーランスになると、売上や経費の管理、確定申告など、会社がやってくれていた会計業務をすべて自分で行う必要があります。
独立と同時に税理士に依頼する方は少ないはずなので、最低限でも、以下の基礎知識を押さえておくと安心です。
- 経費になるもの/ならないものの基準(詳しくはコチラ)
- 帳簿の種類・作成方法(クラウド会計が楽でおすすめ)とは何か(複式簿記の基本)
- 確定申告の流れ(詳しくはコチラ)
- 青色申告をはじめとする節税対策(詳しくはコチラ)
フリーランス向けに税金について解説しているYouTube動画を観たり、本を読んだりすることで基礎的な知識をさらっと身につけられるはずです。
フリーランスは収入に波があることを理解しておく
会社員や公務員と異なり、フリーランスは毎月の収入が安定していないケースがほとんどです。
- 繁忙期は月30〜50万円以上稼げる
- 閑散期は月数万円しか稼げない



このような状況も多々あります
収入の波があることを理解し、たくさん稼げた月は浪費しすぎない意識や、収入が低い月に焦りすぎない意識を持っておくことが非常に大切です。
特に、収入が減り不安になると低単価案件ばかり受注してしまったり、無理な営業活動をして心身ともに崩れたりすることもあります。



独立前に自分の生活費を見直し、いくら稼げれば最低限暮らしていけるのかを把握するだけでもストレスを減らせるはずです


これまで以上に健康管理に気を付ける
フリーランスになって私が日々感じていることは、仕事を休むことが収入減に直結するということです。
感染症にかかって数日作業が止まれば数万円ほどの収入を得られなくなりますし、慢性的な疲労や疾患に悩まされると、集中して作業しにくくなります。



フリーランスは会社員時代よりどうしても福利厚生が少なくなってしまうので、自分できちんと健康管理することが大切です
インボイス登録するかは慎重に判断する
2024年からインボイス制度が始まり、「フリーランス=インボイスに登録しなければ」と考えている方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、独立直後からインボイスに登録する必要はありません。
特に、イラストレーターの場合、個人相手の仕事が多いのであれば、インボイスに登録するメリットは少ないでしょう。



インボイスに登録すると消費税の申告・納税義務が生じるため、手取りも減ってしまいます
反対に、事業規模をどんどん拡大したい方や、企業向けの仕事をしたい方は、インボイス登録した方がスムーズに進むことが多々あります。
インボイスは一度登録すると元に戻すのが難しいため、依頼元が誰か、将来はどのような働き方をしたいかなどを考え慎重に判断することが大切です。
イラストレーターの独立についてよくある質問
最後に、イラストレーターの独立について、よくある質問を回答と共に紹介していきます。
- イラストレーターが開業するタイミングはいつですか?
-
イラストレーターが開業・独立するタイミングは、明確な決まりはありません。
しかし、以下のいずれかの条件を満たしたときに独立すると、独立後の収入も安定しやすくなるでしょう。
- 副業の売上が安定してきたとき
- 案件が途切れない状態になったとき
- 本業との両立が限界で、副業案件を断ることが増えてきたとき
- バイトしながらイラストレーターの仕事をすることはできますか?
-
バイトしながら、イラストレーターの仕事をすることも可能です。
イラストレーターとして独立を検討している方がアルバイトもすれば、収入を安定させやすくなるでしょう。
一方、イラストレーターの仕事が軌道に乗ってきたら、アルバイトとの両立が難しくなることも考えられます。
【まとめ】収入・貯金に余裕を持って独立することをおすすめします
イラストレーターとして独立するには、売上が安定しているかだけでなく、半年から1年分の貯金を用意しているかなども確認しておく必要があります。
また、独立時には社会保険・年金の切り替え手続きもありますし、確定申告に向けた会計処理もしていかなければなりません。
会社員時代と異なり、事務や営業活動も自分ですべて行う必要があるので、念入りに準備を進めておきましょう。
このブログでは、イラストレーターに向けて確定申告や税金について解説しています。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました










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