
個人でイラストレーターの仕事をしているけど、領収書って何年間保管すれば良いのかな?



確定申告が終わったら処分して良いのかな?
本記事では、上記のようにお悩みの方に向け、個人事業主・フリーランスのイラストレーターの領収書の保管期間を解説します。
- フリーランスイラストレーターの領収書の保管期間
- 控除・取引によって領収書の保管期間が異なるケース
- 個人事業主のイラストレーターが領収書の保管期間を守らないとどうなるのか
- イラストレーターが領収書を保管する方法
フリーランスのイラストレーターの場合、白色申告なら5年、青色申告や法人なら7年は領収書を保管しておく必要があります。
繰越欠損金の控除を適用する場合や仕入税額控除を適用する場合には、保管期間が延びる場合もあるのでご注意ください。
領収書をきちんと保管していなければ、経費が否認されたり、青色申告の承認を取り消されたりする恐れもあります。
本記事では、個人事業主やフリーランスとして働くイラストレーターの領収書の保管期間について解説します。
フリーランスイラストレーターの領収書の保管期間は5~7年
フリーランスのイラストレーターとして活動していると、制作に必要な画材の購入費やパソコン・ソフトの代金などを経費として計上することもあるでしょう。
経費を計上する際には、領収書を保管しておく必要があり、確定申告後も5〜7年は保管しておく必要があります。
本章では、フリーランスイラストレーターの領収書の保管期間について解説します。
白色申告は原則5年
白色申告を選択しているフリーランスイラストレーターの場合、領収書や帳簿の保管期間は5年間と定められています。
白色申告は青色申告に比べて記帳義務が簡易的であり、必要経費を裏付ける資料として最低限の保管が求められる仕組みだからです。
ただし、白色申告でも申告内容に誤りや疑いがあった場合、最長7年間までさかのぼって調査を受けることがあります。



余裕があれば白色申告でも7年間保管しておくと安心です
青色申告は原則7年
青色申告を行っているフリーランスイラストレーターは、領収書や帳簿類を原則として7年間保管しなければなりません。
青色申告は最大65万円の青色申告特別控除など大きな節税効果を得られる反面、帳簿の正確性や証拠書類の保存が厳格に求められるからです。


法人成りすると原則7年
フリーランスから法人化した場合も、領収書や帳簿の保管期間は7年間が原則です。
法人税法に基づき、会社としての経理資料は個人事業よりも厳格な管理が求められるためです。
イラストレーターが法人化するケースでは、請負契約の増加や外注スタッフの起用など、取引の規模が大きくなることが多いため、税務調査のリスクも比例して高まります。



領収書の管理を怠ると、経費の否認や追徴課税に直結する可能性があるため注意が必要です


控除・取引によって領収書の保管期間が異なるケース
領収書の保管期間は白色申告・青色申告のどちらを選択しているかや、個人事業主か法人かどうかによって決まります。
しかし、実際には「どの控除を利用しているか」「どのような取引形態をしているか」によっても変動するので注意しなければなりません。
本記事では、取引内容や控除の適用によって領収書の保管期間が変わってくるケースを詳しく解説していきます。
仕入税額控除を適用するケース
イラストレーターが消費税の課税事業者となり、仕入税額控除を受ける場合、領収書を原則7年間保管する必要があります。
事業で支払った消費税分を売上にかかる消費税から差し引ける仕組み



仕入税額控除を利用する場合、取引の証明として請求書や領収書を保存しなければなりません
繰越欠損金の控除を適用するケース
繰越欠損金の控除を適用する場合、欠損金を繰り越している期間は領収書を保管しておきましょう。
赤字を翌年以降に繰り越し、黒字と相殺して税負担を軽減できる制度
控除を適用する場合は、欠損金が発生した年度の領収書や帳簿を、控除を受け終わるまで保管しておかなければなりません。
青色申告を選択している場合、欠損金を最大10年間繰り越せるため、原則7年の保管期間を超えて書類を残すケースも珍しくありません。
電子取引をするケース
デジタルデータの販売やオンラインショップでの画材購入などといった電子取引が行われた場合には、電子帳簿保存法に基づき、電子データのまま保存しなければなりません。
電子帳簿保存法は、紙に印刷して保存するだけでは要件を満たさず、改ざん防止措置を講じた状態で電子的に保管する必要があります。
保存期間は他の領収書と同様、原則7年間(白色申告は5年)ですが、電子取引の場合は「電子で保存すること」が必須となることを理解しておきましょう。
クラウド会計ソフトや専用のストレージを利用し、検索機能やタイムスタンプの付与など、要件を満たす形で管理しなければなりません。



電子データをうっかり削除してしまうと控除が受けられなくなる恐れがあるため、バックアップ体制も整えておきましょう
個人事業主のイラストレーターが領収書の保管期間を守らないとどうなる?
個人事業主やフリーランスのイラストレーターが領収書の保管期間を守らないと、以下のようなデメリットやリスクがあります。
- 追徴課税が発生する恐れがある
- 青色申告が取り消される可能性がある
- 仕入税額控除を適用できなくなる
それぞれ詳しく解説していきます。
追徴課税が発生する恐れがある
領収書を正しく保管していないと、追徴課税が発生する恐れがあります。
税務調査の際に「この経費の裏付けとなる領収書を見せてください」と求められたときに提示できなければ、その経費が否認される可能性があるからです。
例えば、画材費や資料購入費、打ち合わせの交通費など、普段は当然のように必要経費として処理しているものでも、領収書がなければ「事業と関係ない支出ではないか」と判断されてしまうのです。



経費が否認されれば、その分所得が増えるため、追加で所得税や住民税を納めることとなります
青色申告が取り消される可能性がある
保管期間中にもかかわらず領収書を処分してしまうと、青色申告を取り消される恐れがあります。
青色申告は青色申告特別控除などの節税メリットがある一方で、適用する際には領収書の保管や適切な会計処理、帳簿作成が求められるからです。
したがって、領収書を保管していなかったり、管理がずさんで経費の正確性が証明できなかったりすると、「帳簿が適切に保存されていない」と判断され、青色申告の承認を取り消される可能性があります。
一度、青色申告が取り消されてしまうと、再度青色申告の承認を受けるには数年かかる場合もあるのでご注意ください。
仕入税額控除を適用できなくなる
領収書を保管していないと、仕入税額控除を適用できなくなります。
消費税の課税事業者となっているイラストレーターは、取引先から受け取った消費税と自分が支払った消費税の差額を精算する仕入税額控除を利用可能です。



ただし、この控除を適用するためには、取引の証拠として「適格請求書(インボイス)」や領収書を7年間保存しておかなければなりません
もし領収書を紛失してしまえば、その取引について仕入税額控除を適用することができず、支払った消費税を差し引けず、納税額が大きく膨らんでしまいます。
イラストレーターが領収書を保管する方法
フリーランスのイラストレーターにとって、領収書の保管は税務上の義務であると同時に、日々の経理をスムーズに進めるための重要な作業でもあります。
どんなに正しく申告していても、領収書を失くしてしまえば経費が認められないリスクがあるのでご注意ください。
本章では、紙と電子データそれぞれの領収書の保管方法について詳しく解説していきます。
紙の領収書を保管する方法
紙の領収書は、「日付順」「用途別」などに分類してファイルに整理するのがおすすめです。
例えば、月ごとにクリアファイルを用意し、その中で「画材・資料費」「交通費」「交際費」など用途別に仕切りを作ると、後から仕訳をする際に探しやすくなります。



私は月ごとに領収書をファイルに入れるようにしています
また、紙の劣化や紛失を防ぐために、スキャンやスマホアプリでデータ化しておくのも有効です。
税務調査時には原本が求められる場合が多いため、紙は必ず残しつつ、バックアップとしてデジタルコピーを保存すると安心です。
湿気や直射日光で印字が消えることもあるため、保管場所は涼しく暗い場所を選びましょう。
電子データの領収書を保管する方法
近年は、ネットショップやクラウドサービスを利用する機会が増え、領収書をPDFやメール添付で受け取るケースも増えています。
このような電子データで発行された領収書は、電子帳簿保存法の改正により、電子データのまま保存することが義務付けられています。



紙に印刷したものを保管するだけでは要件を満たさないのでご注意ください
電子データで発行された領収書を保管するときには、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 検索ができること
- 改ざん防止措置が取られていること
- 保存期間を守ること
具体的には、クラウド会計ソフトや電子帳簿保存法に対応したストレージを利用し、フォルダ名を「年度」「月」ごとに整理することで検索性を確保するのが良いでしょう。
さらに、受け取ったメールをそのまま削除せず、専用フォルダに移して保存したり、PDF化してクラウドにアップロードしたりするのもおすすめです。
会計処理を楽にしたいならクラウド会計がおすすめです
フリーランスのイラストレーターにとって、制作に時間を使いたい一方で、経理や確定申告にかかる手間は大きな負担になりがちです。
特に、領収書の整理や経費の入力は、月末や年度末にまとめて行おうとすると膨大な作業量となり、誤りの原因にもなります。
少しでも、会計処理や領収書の整理を楽にしたいのであれば、クラウド会計を利用するのが良いでしょう。
クラウド会計を利用すれば、領収書を撮影するだけで日付や金額、取引先を自動読み取りしてデータ化できますし、電子データも電子帳簿保存法の要件にしたがって保管可能です。
クラウド会計にはいくつかありますが、個人で働くイラストレーターに特におすすめのものは、下記の通りです。
クラウド会計 | 特徴 |
---|---|
やよいの青色申告オンライン | 最大1年間の無料体験が可能! クラウド会計の利用料金を抑えたい方におすすめ |
マネーフォワードクラウド確定申告 | クラウドワークスなどイラストレーターが利用するサービスとの連携機能が豊富 |
freee | 簿記・会計の知識がなくても操作しやすいシンプルな機能が魅力 |



どれも無料体験できるので、まずは気軽に試してみることをおすすめします!


イラストレーターの領収書の保管期間についてよくある質問
最後に、イラストレーターの領収書の保管期間について、よくある質問を回答と共に紹介していきます。
- 保管期間を過ぎた領収書はどうすればいいですか?
-
保管期間を過ぎた領収書は、原則として廃棄しても構いません。
ただし、繰越欠損金の控除を適用している場合や、消費税の仕入税額控除を受けている場合には、保管期間が実質的に延びるケースがあるのでご注意ください。
廃棄する場合には、シュレッダーや専門の廃棄サービスを利用し、個人情報や取引先の情報が外部に漏れないよう注意しましょう。
- 領収書がない取引はどうすれば良いですか?
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交通費など領収書がない取引を経費として計上したい場合には、出金伝票を作成しましょう。
他にも、クレジットカードや電子マネーで支払った場合には、利用明細や請求書が領収書の代わりになります。
インターネット通販での購入は、注文履歴画面やメールで送られてくる「ご利用明細書」を保存しておきましょう。
【まとめ】領収書は自分なりの保管ルールを決めておきましょう
経費を計上し所得を抑え節税するためには、領収書を正しく保管しておかなければなりません。
領収書は保管方法だけでなく、保管期間についても明確に定められています。
確定申告が終わったからといってすぐに処分するのではなく、保管が義務付けられている間は処分しないようにしましょう。
また、領収書は紙で受け取ったものと電子データで受け取ったものは、保管方法や要件が異なるのでご注意ください。
領収書の管理や経費計上、会計処理を楽にしたいのであれば、以下のようなクラウド会計を活用するのがおすすめです。
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このブログでは、個人で働くイラストレーター向けに確定申告や税金に関する情報を発信しています。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました
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