
イラストレーターとして独立したけど、売上がなかなか安定しない……



毎月パート代程度は稼ぎたいんだけどな……
本記事では、上記のようにお悩みの方に向け、イラストレーターの売上が不安定になりやすい理由や対処法を解説します。
- イラストレーターの売上が不安定になる理由
- イラストレーターの売上を安定させるコツ
- イラストレーターの売上が不安定でもメンタルを保つ方法
フリーランスのイラストレーターとして活動する中で、売上が不安定であることや収入に波があることについて悩む方も多くいます。
出版業界や広告業界は繁忙期と閑散期の差が大きく、予算の変動も受けやすい業界だからです。
売上が不安定になることを防ぐためには、クライアントや仕事の幅を絞りすぎないことや日頃から営業活動をしておくことが大切です。
本記事では、個人で働くイラストレーターの売上が不安定になる理由と対処法について解説します。
イラストレーターの売上が不安定になる理由
個人で働くイラストレーターは、売上が多い月も少ない月もあるはずです。
- フリーランスのイラストレーターの売上が不安定になる理由は、主に以下の通りです。
- 出版・広告業界は繁忙期と閑散期がはっきりしている
- 不景気など広告予算が減少している
- 継続案件を受注できておらず単発案件ばかりである
- 受注が特定のクライアントのみに集中している
- 営業活動を継続していない
- 報酬単価が低い
- 病気や家庭の事情でイラスト制作できていない
- 仕事に突発のキャンセルがあった
- クライアントが生成AI・素材サイトを使用するようになった
- 競合が増えた
それぞれ詳しく解説していきます。
出版・広告業界は繁忙期と閑散期がはっきりしている
イラストレーターの仕事の多くは、出版業界や広告業界のものが多く、いずれも繁忙期と閑散期がはっきりしています。
出版業界 | 春や秋の新刊シーズンに合わせて需要が急増する一方、年度末や夏季は依頼が減少する傾向がある |
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広告業界 | 企業の予算編成やキャンペーン時期に大きく左右される年末や期末は予算が余っていれば需要が増えることも |



閑散期で収入が減少したときの資金繰りに気を配る必要があります
不景気など広告予算が減少している
不景気などにより広告予算そのものが減少してしまうと、売上が減少しやすくなります。



景気が落ち込むと、企業は広告宣伝費を削減する傾向にあるからです
特に、個人で働くイラストレーターは大手代理店よりも優先度が低いため、景気後退局面では影響を強く受ける可能性があります。
継続案件を受注できておらず単発案件ばかりである
継続案件を受注できておらず、単発案件ばかり引き受けている場合にも、売上の変動が大きくなります。
例えば、企業のオウンドメディア用のイラストや、連載漫画のカットなどの仕事を受注できれば、毎月一定額の売上を確保でき、生活設計をしやすくなるでしょう。



一方、単発案件ばかりに依存していると、常に新規案件を探さなければならず、売上の波は大きくなります
受注が特定のクライアントのみに集中している
売上の大半を一社のクライアントに依存していると、そのクライアントからの発注が止まった瞬間に収入が激減します。
取引先は複数に分散し、依存度を下げることが望ましいといえるでしょう。
営業活動を継続していない
制作活動ばかりしており、営業活動に力を入れていないイラストレーターも収入の波が大きくなる傾向があります。



安定した売上を確保するには営業活動が不可欠です
営業活動=積極的な売り込みと考える方もいますが、イラストレーターの場合、以下のように様々な営業活動が考えられます。
- 作品集の更新
- ポートフォリオサイトの整備
- SNSでの発信
- 既存クライアントへの定期的な連絡
SNSでの発信やクライアントへの連絡などは習慣化すれば、それほど手間もかからないはずです。
報酬単価が低い
イラストレーターとして売上が伸び悩む大きな要因のひとつが、報酬単価の低さです。
クラウドソーシングやコンペ形式の案件では、1点数千円から数万円といった低価格での取引が多く、制作にかかる時間や労力に見合わないこともしばしばあります。
駆け出しの頃であれば、経験を積む目的で低単価案件を受けるのも戦略のひとつですが、そのまま単価交渉をしないと売上は頭打ちになります。



時間ばかりかけて稼げなかったり、営業活動に割く時間がなくなったりすることもあるでしょう
単価を改善するためには、報酬の低い案件を高いものに切り替えたり、単価交渉をしたりすることが大切です。
病気や家庭の事情でイラスト制作できていない
何らかの事情でそもそもイラスト制作・販売に時間を使えていない場合には、売上が減少してしまいます。
フリーランスは収入が「労働時間=売上」と直結するため、病気やケガ、家庭の事情で制作時間を確保できない期間があると、そのまま収入の減少につながります。



子育てや介護など予測しにくい事情も重なり、1~2か月まったく売上が立たないこともあり得ます
会社員であれば、有給休暇や傷病手当で収入が補填されますが、フリーランスにはその仕組みがないため普段から貯金をしておき不測の事態に備えなければなりません。
仕事に突発のキャンセルがあった
残念なことですが、仕事を受注したものの突発でキャンセルが発生した場合も売上が減少することがあります。



もちろん、仕事を進めていたにもかかわらずキャンセルとなった場合には、工数分の報酬を請求すべきです
しかし、企画段階でキャンセルになったり、継続されていた案件が突然中止になったり報酬を請求しにくいものもなかにはあります。
クライアントが生成AI・素材サイトを使用するようになった
近年は生成AIの登場や、低価格で利用できる素材サイトの普及により、クライアントが外注を減らす動きが見られます。
「これまで依頼されていた挿絵やカットが、AI生成画像やストックイラストで代替された」という声は多く、結果的に売上減少につながっています。
特に、広告やWebメディアではスピードとコストを優先する傾向が強く、クリエイターの受注機会が奪われやすい状況です。



このような状況に対応するには、単なるイラスト提供にとどまらず、コンセプト提案や修正対応力といったAIには難しい付加価値を示さなければなりません
競合が増えた
イラストレーター人口自体が増えていることも、売上不安定の原因のひとつです。
SNSの普及により誰でも作品を発表できる環境が整い、趣味から副業まで幅広い層が市場に参入しています。



会社での働き方に疑問を持ち、フリーランスとして独立する方も増えています
その結果、案件の競争率は高まり、単価も下がりやすくなっています。
特に、クラウドソーシングやコンペ形式の案件は応募者が殺到し、受注の安定性が低下しやすいので注意しなければなりません。
競合の中で「あなたに依頼したい」と思ってもらうためには、あなたならではの作風やクライアントの要望を読み取る力を磨く必要があります。
イラストレーターの売上を安定させるコツ
個人で働くイラストレーターの売上を少しでも安定させるには、普段から以下のような対策をしておくことをおすすめします。
- 複数の収入源を持つ
- ストック収入を増やす
- 紹介・リピートを増やす
それぞれ詳しく解説していきます。
複数の収入源を持つ
売上を安定させるためには、1つのクライアントや仕事形態に依存しないことが重要です。
例えば、広告や出版の仕事を軸としつつ、企業のオウンドメディア用のカット、ゲームやアプリ用のイラスト、個人向けのアイコン制作など、複数のジャンルで収入を確保する工夫が必要です。
さらに、イラスト以外にも、デザイン業務や講座の開催など自分のスキルを広げて仕事を多角化するのも選択肢のひとつといえるでしょう。



すでにイラストレーターとしてSNS運用をしているのであれば、SNS運用などの業務に力を入れるのも良いですね
クライアント数や仕事の種類を分散しておくことで、1つの案件が減ったとしても他の収入源で補うことができ、結果として年間売上を安定させやすくなるはずです。
ストック収入を増やす
余裕があるときに、ストック収入を増やす工夫をしておきましょう。
クライアントワークだけでは「働いた時間=売上」となりやすく、病気や家庭の事情で制作ができないときに収入がなくなってしまうからです。



ストック収入を増やせば、作業時間を確保できないときにも収入がゼロになることを防げます
イラストレーターとストック収入の相性は良く、主に以下のものなどが考えられます。
- ストックイラストの販売
- イラスト素材集の販売
- LINEスタンプの販売
- 技術書やフリーランスとしての働き方についての解説本出版
- オンライン講座の販売
上記の販売はいずれも、準備に時間がかかりますが、一度アップロードしてしまえば継続的に売上を生む仕組みとなる可能性があります。



いわば不労所得に近い形で収入を補うことが可能です
紹介・リピートを増やす
営業活動の中で最も効率的なのが、紹介やリピートにつながる仕事です。
新規クライアントを開拓するのは手間も時間もかかりますが、既存クライアントからの継続依頼や、そこからの紹介は比較的スムーズに受注できることが多いからです。
リピートや紹介を増やすためには、納品物の質を高めるのはもちろんですが、納期を守ったり、修正に柔軟に対応したりと日々の仕事を丁寧にこなしていきましょう。



紹介やリピートが増えると、安定的な売上だけでなく、単価アップや長期契約のチャンスにもつながります
私も業種は異なりますが、Webライターやディレクター、マーケターの仕事をしています。
最初は記事執筆を任せられるだけでしたが、取引が長期化すると記事のチェックやサイト全体の管理を任される機会も増えてきました。



このように、継続依頼は仕事の幅を広げてくれるのにも役立ちます
イラストレーターの売上が不安定でもメンタルを保つ方法
これまで解説してきたように、個人でイラストレーターとして活動する以上、売上が不安定になるときはどうしてもあります。
そんなときでも、メンタルを保ち、自分のペースで仕事を続けるコツは、主に以下の通りです。
- 波があることは当たり前と考える
- 最低限必要な収入額を把握しておく
- 積立貯金・投資をしておく
- 普段から営業活動・ブランディングに取り組む
それぞれ詳しく解説していきます。
波があることは当たり前と考える
まず大前提として、フリーランスは売上に波があるのが普通と受け入れることが大切です。
繁忙期には案件が重なり、プライベートの時間を削ってでも制作する時期がある一方、閑散期には依頼が途絶えることもあります。



このサイクルは、出版業界や広告業界の構造上避けにくいことでもあるので、ある程度割り切ることも大切です


最低限必要な収入額を把握しておく
精神的に安心するためには、最低限必要な収入額を明確にすることも大切です。



「最低限これだけあれば暮らせる」という金額を把握すれば、収入が落ちても気分が落ち込みすぎないはずです
例えば、生活費20万円、経費・税金5万円であれば、最低25万円稼いでいれば生活できるはずです。
自分がいくら稼げば良いかそもそもわからない方は、1ヶ月でも良いので家計簿をつけてみて、支出がいくらか把握してみることをおすすめします。


積立貯金・投資をしておく
収入が少なくても落ち込んだり慌てたりしなくて良いように、日頃から積立貯金や投資をしておくのも良いでしょう。
毎月一定額を積立貯金したり、余裕資金を投資に回したりしておけば、万が一、収入がゼロになる月があったとしても精神的に追い詰められずに済みます。



特に、個人事業主として働いている場合、小規模企業共済やiDeCoなどを利用して資産を積み立ててば節税にもつながります


普段から営業活動・ブランディングに取り組む
メンタルを良い状態に保つには、常に行動し続けることも大切です。
仕事が一時的に減り収入が減ってしまったとしても、営業活動やブランディングを継続していれば前に進んでると思えるようになります。
仕事が減ったとき=時間の余裕が増えたと考えて、過去のクライアントにメールを送ってみたり、ポートフォリオを整理したりするのも良いでしょう。



このような行動はすぐに成果が出なくても、将来の紹介やリピート、単価アップにつながることもあります
イラストレーターの売上についてよくある質問
最後に、イラストレーターの売上についてよくある質問を回答と共に紹介してきます
- イラストレーターとして活動すると確定申告が必要ですか?
-
イラストレーターとして活動し、所得(売上−経費)が以下の金額を超えると、確定申告をしなければなりません。
- 副業イラストレーター:所得20万円を超えたら
- 本業イラストレーター:所得48万円を超えたら
- イラストレーターの売上を安定させるにはどうすればいいですか?
-
イラストレーターの売上を安定させるには、以下のような工夫をすると良いでしょう。
- 複数の収入源を持つ
- ストック収入を増やす
- 紹介・リピートを増やす
【まとめ】日頃の工夫で少しずつ売上を安定させましょう
フリーランスとして働くイラストレーターにとって、売上の波はある程度は避けられませんが、複数の収入源を確保したり、ストック収入やリピート案件を増やしたりすることで、売上を安定させやすくなります。
また、収入に波があるのは当たり前と考え、日頃から生活していくのに必要な金額を把握しておくことも心の安定につながります。
このブログでは、個人で働くイラストレーター向けに確定申告やお金について解説しています。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました
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