
個人事業主でイラストレーターをしているけど、納税の時期にお金がなくて慌てる……



納税スケジュールを把握して資金繰りに慌てないようにしたい
本記事では、上記のようにお悩みの方に向け、個人事業主として働くイラストレーターの納税スケジュールについて解説していきます。
- 個人事業主のイラストレーターの納税スケジュール
- 個人で働くイラストレーターが納税資金を用意しておく方法
イラストレーターとして活動していると、制作や営業に追われてつい後回しにしがちなのが納税や社会保険料の準備です。
いきなり納税通知書が届いて慌てないようにするためにも、納税額や社会保険料の金額をあらかじめ把握しておくことが大切です。
本記事では、個人で働くイラストレーターに必要な納税スケジュールの流れや、納税資金を用意するコツを紹介します。
個人事業主のイラストレーターの納税スケジュール
フリーランスとして活動するイラストレーターにとって、納税は避けて通れません。
仕事に集中していると、つい支払いの時期を忘れてしまいがちですが、納税スケジュールを把握しておき、資金繰りに気をつけておきましょう。
個人事業主として活動するイラストレーターの納税スケジュールは、下記の通りです。
時期 | 税金の種類 |
---|---|
3月・4月 | 所得税 |
3月 | 消費税 |
5月 | 自動車税 |
5月以降 | 固定資産税 |
6月以降 | 住民税 |
6月以降 | 国民健康保険料 |
8月・11月 | 個人事業税 |
毎月 | 国民健康保険料 |
それぞれ詳しく解説していきます。
【3月・4月】所得税
毎年1月から12月までの収入・経費をまとめ、確定申告を行ったうえで納めるのが所得税です。
確定申告の期間は2月16日から3月15日までで、通常はこの期間に計算・申告を済ませ、納付も同時に行います。
ただし、振替納税を利用すると4月中旬頃に口座から自動引き落としとなり、納付を忘れる心配が減ります。



資金繰りを考えると、申告直後に納付するか、振替にするかを計画的に選ぶことが重要です
【3月】消費税
前々年の課税売上高が1,000万円を超えた場合やインボイスに登録している個人事業主には、消費税の納税義務が発生します。
イラストレーターの場合、仕事量が急増した年の2年後から課税事業者になることが多いため注意しなければなりません。



消費税の申告・納付期限は原則として3月31日であり、こちらも振替納税を選択すれば4月下旬頃に引き落としとなります。
消費税は金額が大きくなりがちなので、年間を通して積立をしておくことが大切です。
【5月】自動車税
自家用車を所有している場合、5月に都道府県から自動車税(自動車税種別割)の納付書が届きます。



仕事で使用する車もプライベートで使用する車も自動車税の納付が必要となります
自治体によっても異なりますが、納税通知書・納付書が届くのが5月頭頃であり、納付期限は5月末と支払いスケジュールがタイトなので注意しましょう。
なお、事業で自動車を使用している場合、自動車税を経費として計上できる可能性があります。


【5月以降】固定資産税
自宅が持ち家の場合や事務所などの不動産を所有している場合には、固定資産税が課税されます。
自治体によっても異なりますが、4月頃に納税通知書が届き、年4回(5・7・12・翌年2月)に分けて支払うのが一般的です。
自宅の一部を事務所として使用している場合、固定資産税の一部を経費として計上できる可能性があります。



床面積などで家事按分する必要があるので、不安であれば税理士に一度相談してみることをおすすめします


【6月以降】住民税
前年の所得をもとに計算される住民税は、6月に納付書が届きます。



確定申告をしている場合には、その内容をもとに自治体が住民税を計算してくれる仕組みです
確定申告で普通徴収を選択していた場合、自分で年4回(6・8・10・翌年1月)に分けて納付することになります。
住民税は所得税と違い、前年の結果として課税されるため、収入が急増した翌年は思わぬ金額になることも少なくありません。



資金繰りを安定させるためには、確定申告の時点でおおよその住民税を予測しておくと安心です


【6月以降】国民健康保険料
税金とは異なりますが、年間を通して払っていく支出として社会保険料も抑えておきましょう。
会社員と違い、フリーランスのイラストレーターは国民健康保険に加入します。
国民健康保険料は前年の所得に応じて決まり、6月頃に通知書が届き、そこから毎月払い(年12回)で収めます。



納付書は一度に届くので、届いた時点で1年分をまとめて支払うことも可能です
国民健康保険料は所得(売上−経費)の1割程度となることが多く、収入が多い年の翌年は保険料が高額になることがあるため、事前に積立しておくと安心です。
また、所得が増え国民健康保険料が高額になった場合には、文芸美術国民健康保険組合(文美国保)に加入することも検討しておきましょう。




【8月・11月】個人事業税
個人事業税は、イラストレーターを含む一定の業種で、年間の事業所得が290万円を超えた場合に課される地方税です。
対象となると、毎年8月と11月の年2回に分けて納付書が届きます。
会社員の副業などで事業所得が少ない場合はかからないこともありますが、フリーランスとして安定して収入がある方は注意が必要です。
税率は業種や事業の内容によって決まり、イラストレーターはデザイン業に分類され、5%の税率が適用されます。



収入が上がり、所得が290万円を超えて納付書が届いても驚かないようにしましょう


【毎月】国民年金保険料
20歳以上60歳未満の個人事業主は、国民年金に加入して毎月保険料を納めます。
2025年度の保険料は月額約17,510円で、口座振替やクレジットカード払いも可能です。
国民年金保険料は前納制度が用意されており、利用すれば前納期間に応じた割引が適用されます。



私も2年前納を選択しています!
なお、国民健康保険料や国民年金保険料は経費として計上できないものの、確定申告時に社会保険料控除として全額控除を適用できます。



いくら支払ったかの明細を大切に保管しておきましょう!


個人で働くイラストレーターが納税資金を用意しておく方法
個人で働くイラストレーターは自分で税金や社会保険料を収める必要があるため、納税資金を積み立てておく必要があります。
資金繰りに苦労しないようにするために、以下のようなことを意識しておきましょう。
- 売上の一部を積み立てておく
- 売上・経費を管理し税額・社会保険料を把握しておく
それぞれ詳しく解説していきます。
売上の一部を積み立てておく
最も効果的な方法は、売上が入ったらその一部を自動的に納税用に積み立てておくことです。
例えば、「入金があったら必ず30%を別口座に移しておく」というルールを決めておけば、所得税や住民税、国民健康保険料、年金などの支払いに充てられる資金を自然と確保できます。
ただし、所得税の税率は累進課税であり、所得の金額が上がれば税率も上がります。
また、売上が1,000万円を超えると消費税が発生するため、売上や経費の金額に応じて積立割合を調整する必要があります。



不安であれば多めに積み立てておき、次年度以降調整していくのが良いでしょう
また、お金の管理を細かくするのが難しい方は、口座を複数作成しておき、ひとつを税金・社会保険料の積立口座とするのもおすすめです。
売上・経費を管理し税額・社会保険料を把握しておく
納税資金を積み立てておくことも大切ですが、年間を通じて、どのくらい税金や保険料がかかるのかを把握することも重要です。
税金は前年の所得や消費税の課税要件などで金額が大きく変動するため、見込み額を把握していないと資金計画が狂いやすいからです。
売上や経費はクラウド会計を利用すれば管理しやすくなり、毎月の利益についても確認可能です。



毎月の利益がわかれば、自ずと来年の税金や社会保険料についても予測を立てられるはずです


イラストレーターの納税についてよくある質問
最後に、個人で働くイラストレーターの納税について、よくある質問を回答と共に紹介していきます。
- 副業イラストレーターは確定申告が必要ですか?
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会社員として給与を受け取りながら副業でイラスト制作をしている場合、所得(売上-経費)が20万円を超えたら確定申告をしなければなりません。
所得は売上と経費の金額によって決まるため、確定申告が必要か判断するためには、日頃から売上と経費を記録しておくことが大切です。
- イラストレーターの経費にできるものは何ですか?
-
経費として認められるのは、イラストレーターとしての収入を得るために直接必要な支出です。
具体的には以下のようなものが該当します。
- イラスト制作に使用した画材代
- パソコン代・周辺機器代
- イラスト制作のソフト代
- クラウド会計の使用量
- インターネット費用
- スマホの使用料金
- イラスト制作・販売の資料・書籍代
- 自宅の家賃・作業場の家賃
- 自宅の電気代・作業場の電気代
- カフェ・コワーキングスペースの作業代
- セミナー受講費用
- 固定資産税や自動車税
- 損害保険料
- イラストレーターが個人依頼で仕事を受けても確定申告は必要ですか?
-
イラストレーターが個人から直接依頼を受けて報酬を得た場合も、収入として計上しなければなりません。
収入から経費を引いた所得が20万円もしくは48万円を超えたら確定申告をしなければなりません。
【まとめ】計画的に納税資金を用意しましょう
フリーランスのイラストレーターにとって、納税は創作活動を安定して続けるための基盤となります。
確定申告の時期に支払う必要がある所得税や消費税をはじめ、住民税や国民健康保険料など年間を通じて発生する税金もあります。
納税通知書が届いて慌てないようにするためにも、日頃から売上の一部を積み立ておくことが大切です。
また、クラウド会計を利用して売上や経費を管理し、納税額を把握しておくのも良いでしょう。
クラウド会計にはいくつかありますが、イラストレーターに特におすすめのものは下記の通りです。
クラウド会計 | 特徴 |
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マネーフォワードクラウド確定申告 | クラウドワークスなどイラストレーターが利用するサービスとの連携機能が豊富 |
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このブログでは、イラストレーターの確定申告や資金繰りについて書いています。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました
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